腎臓の働きを知っていますか?

腎臓には血液から尿をつくる働きがあります。我々は毎日栄養や水分をとり、それをエネルギーや体の成分にかえて生きていく事が可能なわけですが、この際必ず、栄養分の燃えカスや体に不必要な成分(老廃物)ができます。これらを過不足なくすべて溶かしこんで体の外に出すのが、腎臓の大切な役目です。腎臓は、毎分約1リットルの血液から約200万個の糸球体という濾過装置(フィルター)を通して100mlの尿のもとをつくり、腎臓の中の尿細管という複雑な配管装置を通して1/100まで濃縮し、最終的な尿にします。そうして腎臓は、体の水分量と血圧を常に一定に保ち、ナトリウム、カリウム、カルシウムなどの塩分の量を一定に調節し、血液を弱アルカリ性に調整して、体内の恒常性(バランス)を保っているます。また腎臓は血圧を上げるホルモン、血液の中の赤血球をつくるホルモンや、骨を強くする活性型ビタミンDをつくります。

腎臓病とはどのような病気ですか?

 腎臓が十分に働かなくなると、体に不必要な老廃物がたまったり、逆に必要な物が尿に出ていったりして、体内環境のバランスが悪くなります。尿は腎臓をはじめ、体の変調を知るバロメーターです。健康な尿がつくれない状態がすなわち腎臓病で、尿にふだんは含まれないタンパク質や血液が混じった状態が、タンパク尿、血尿です。ただし、一時的にタンパク質や血液が混じってもすぐに腎臓病というわけではなく、運動後や風邪の時など良性(機能性)のタンパク尿・血尿といって、特に病気がなくても出ることがありますし、膀胱炎や尿路結石でも血尿が出ます。しかし、これら以外の多くの場合は、腎臓病、特に腎炎の可能性があります。腎炎のほとんどは糸球体腎炎で、糸球体(フィルター)が炎症を起こしてあれたり目づまりした状態になったりします。タンパク尿の量が多いと特にネフローゼ症候群ともいいます。また、腎炎以外に、高血圧、糖尿病、膠原病などのほかの病気が原因で起こる腎臓病もあります。ただ、ひとくちに腎臓病といっても千差万別で、一般にタンパク尿や血尿の程度に応じて、心配のほとんどない軽いものからすぐに入院治療が必要なものまであり、それを知るためには現在症状がなくても定期的に診察や検査を受ける必要があります。

こんな症状がでたら要注意です!

 腎臓病の自覚症状はまず尿に現れます。・尿の量(回数が)が増えた(または減った)、・尿に濁りがある、などです。尿が近いときの原因で一番多いのは膀胱炎ですが、過度の精神の緊張でおこることもあります。尿は濃くても透明なら心配ありませんが、濁ったときは要注意です。膿尿といって尿路のどこかに炎症が起きて尿に白血球がたくさん出ている場合や、また血尿やタンパク尿の場合もあります。むくみも腎臓病の大切な症状のひとつで、体の中の水分バランスの乱れから起こります。さらに、腎臓が悪いと高血圧になりやすく、また高血圧が腎臓病をさらに悪くするという悪循環を招きます。そのほか、貧血や、疲れ易くなったりします。ただ、腎臓病の多くはある程度進んでいてもほとんど自覚症状がなく、検査でしかわかりません。腎臓病の検査には、尿検査、血液検査以外に、超音波(エコー)、シンチなどの画像検査と、腎生検があります。腎生検では2〜3週間ほど入院していただいて、針で腎臓の組織をごく一部取り出し顕微鏡の検査に回して、病気の種類や程度を明らかにし、治療を決めたりします。また、ごくまれに遺伝子の異常によっておこる腎臓病の可能性がある場合は、採血して遺伝子診断を行います。

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